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CONFERENCE / PAPER PRESENTATION

不妊治療により妊娠に至った女性患者の生活習慣に関する意識の変化と実際の取り組み

花田 尚香,黒田 浩正,濱口 美雪,安藤 由里,橋本 良子,北吉 歩,冨田 直子,山口 弥生,磯田 沙織,森本 由美,山﨑 雅美,春木 篤,春木レディースクリニック

【目的】不妊治療においては,通院し治療を受けるだけでなく,患者自らが生活習慣の改善に関心をもち,情報を入手し,実践していることが多い。当院では2014年7月から管理栄養士による栄養カウンセリングを実施しているが,患者のニーズを把握し,適切な情報提供を行うために,卒業患者(妊娠に至り産科転院が決定した女性患者)に対して,食事や運動などの生活習慣に関するアンケート調査を実施してきた。本研究では,その集計と分析を行い,不妊患者の生活習慣に関する意識や取り組みの実態を把握することを目的とする。


【方法】2022年3月~2023年10月の当院における卒業患者に対し,当該患者の最終診察日にアンケート用紙を手渡し,回答への同意が得られた患者に記入を依頼した。アンケートの項目は,①食への関心の有無,②食生活や生活習慣に関して留意したこと,③利用したサプリメントや健康食品,④飲酒・喫煙の有無,⑤体型(身長・体重)とし,③~⑤については夫の状況を記入する欄も設けた。なお,本研究は当院の倫理審査委員会の承認を得て実施した。


【結果】アンケートの回答数は1314件,うち有効回答数は1290件であった。
①「治療開始後,食への関心が高まりましたか」という質問には80.7%が「はい」と答えた。
②「食生活や生活習慣に関して留意したこと」については,「その他」を含め13項目を設け,複数選択を可とした。最も多かったのは「サプリメント・健康食品を利用した」77.7%,次いで「野菜を多く摂るようにした」が58.2%であった。以下,「カフェインを多く含むコーヒーやお茶を控えた」52.1%,「身体を温める食べ物を積極的に摂った」48.8%,「睡眠時間を充分とるようにした」46.7%,「軽い運動をしたり,日常生活の中で身体を動かす機会を増やしたりした」28.8%,「スナック菓子やファーストフードを避けた」22.8%,「甘いものを控えるようにした」21.9%,「肉よりも魚を食べる回数を増やすように努めた」18.7%,「鍼灸やリンパマッサージなどを利用した」18.1%,「退職や休職,転職や時短勤務への変更をした」15.3%,「玄米や雑穀,全粒粉など精製度の低い食品を食べるようにした」14.3%の順となった(図1)。「その他」には「良質なたんぱく質の摂取」「グルテンフリー」「白砂糖を避ける」「ストレスをためない」「リモートワークの活用」などが挙がった。
③「利用したサプリメント・健康食品」については妻と夫で差異が見られた。妻の利用率は97.3%と高く,その理由は葉酸サプリメントの摂取によるところが大きい。葉酸は94.4%が利用しており,次いで,鉄23.4%,ビタミンD22.7%,亜鉛19.3%の利用も多かった。一方,夫は64.3%が全く利用しておらず,最も利用率が高いのは亜鉛17.4%であった。

④飲酒・喫煙についても妻と夫で差異が見られた。妻は飲酒習慣のない人が48.7%と多く,治療開始後に禁酒した人も21.9%いた。一方,夫は禁酒した人は2.2%で,67.9%が飲酒習慣を継続し,そのうち36.4%が「毎日飲む」と答えた。また,喫煙についても,妻は非喫煙者が91.2%,禁煙した人が6.0%で,喫煙者は2.1%であった。一方,夫は非喫煙者が64.7%,禁煙した人が8.8%で,喫煙習慣を継続した人が21.9%と多かった。 ⑤体型については,記入された身長と体重からBMIを算出した。最高値41.6,最低値15.0,「18.5未満」が17.5%,「18.5以上22未満」が59.1%,「22以上25未満」が17.0%,「25以上」が6.4%であった。自らのボディイメージの回答と比較すると,「18.5未満」では「やせ」なのに「ふつう」を選んでいたり,「22以上25未満」では「ふつう」なのに「太り気味」を選んでいたりと,一致率が低かった。治療開始に際して減量した人が2.5%,体重を増やした人が1.1%見られた。夫は「25以上」が23.8%と高かったが,減量した人は1.2%と少数であった。 【考察】長年の生活習慣を改善することは難しいが,不妊治療という明確な目的があるため,行動変容のモチベーションが高いことがうかがえた。患者の大半が治療開始を機に食への関心が高まったと答えたが,特に「食生活や生活習慣に関して留意したこと」の上位の項目については専門的な助言を望んでいると考えられるので,適切な情報提供に努め,患者からの相談に対応できる体制を整えておかなければならない。 また,飲酒,喫煙においては,夫は妻よりも治療開始後の変化が少なく,体重管理の意識も低いことがうかがえた。飲酒や喫煙,肥満は健康状態を悪化させるだけでなく,酸化ストレスを増加させるため妊娠にも影響することを夫自身にさらに強く伝えるとともに,夫と妻の意識の違いを踏まえ,それぞれの心情に配慮した対応をしていくことも必要である。 BMIとボディイメージにおいては,やせ願望が如実に表れていた。その一方,高いBMIなのに改善されないまま妊娠に至っているケースも見られた。やせも肥満も妊娠率や妊娠の維持に影響し,さらには出生児の健康状態をも左右することを治療開始の早い時期に伝え,自分自身で体重をコントロールできるように支援していかなければならない。

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