【目的】2023年6月からMyo Sure® MANUALティッシュリムーバルデバイスによる組織回収式子宮鏡下内膜ポリープ切除（以下、M法）を導入し、多発性内膜ポリープを外来で施行している。子宮内腔へのデバイス挿入後は器具の出し入れなく鏡視下にポリープを非電極性に切削回収するため、内膜を保護しながら病巣完全摘出が可能である。疼痛が少なく手術時間も短縮するため日帰り手術が可能で、治療のロスタイム削減に繋がる。術後の妊娠成績を検討した。

【方法】2023年6月から2024年3月までに当院にてM法を用いて子宮鏡下内膜ポリープ切除を行った49症例の妊娠成績を調査し、特に術後に胚移植を行った21症例、延べ27周期の内訳を調べた。尚、子宮内に胎嚢を確認した症例を臨床妊娠、児心拍が確認された症例を継続妊娠と定義した。

【結果】全49 症例の平均年齢は35.4才（26－44才）で3個以上の多発性ポリープは32例で限局性ポリープは17例であった。現時点での妊娠症例は25例で一般治療による妊娠は8例であった。胚移植を行った21例27周期における胚移植あたりの臨床妊娠率は55.6％（N＝15）、継続妊娠率は48.1％（N=13例）であり、術後から妊娠に至るまでの移植回数が1回目妊娠は12例、2回目妊娠が5例で術後早期の妊娠成立を認めた。

【考察】静脈麻酔下による組織回収式子宮鏡下内膜ポリープ切除術を安全に行い、妊娠率向上に寄与している。外来滞在時間は約3～4時間で細径子宮鏡のため疼痛が少なく、非電極性のため子宮内膜ダメージの少ない治療法である。多発性内膜ポリープは完全摘出しても早期再発の懸念があり、術後速やかに治療再開することで妊娠率向上に繋がっている可能性がある。