こんにちは

春木レディースクリニック心理師の濵口です。

小さい頃「相手の立場に立って考えよう」「相手の気持ちを考えて行動しよう」などと言われたことがあるのではないでしょうか。それはとっても大切なことです。が、実際に突き詰めて考えるととっても難しいことでもありますね。

相手の気持ちの成り立ちには、その人の今まで生きてきた環境や社会状況、価値観などが影響するからです。例えば、どうしても話が平行線に終わってしまう年上の人が居るとしましょう。その人とは（もちろんですが）生きてきた時代背景も環境も生活の仕方も価値観も違います。それぞれの思う「常識」というもの自体が違っていますから、お互いの常識を持ち出してもすぐに理解し合えるとは到底考えられません。どちらがいいとか悪いとかの評価ではないので、そのまま平行線状態も考えられます。「分からないやつ！」とお互いに思う感じですね。
特に昨今は多様性の時代と言われており、ステレオタイプの一般的にその立場の人ならばこう考えるだろうからここを押さえておけば相手の気持ちを考えたことになるでしょう…的なひと昔前のような対策は通用しないでしょう。「そんなことで分かった気になるなよ！」と言われてしまうかもしれません💦
このように、例えば、国語の時間に「この小説の登場人物の気持ちになって考えなさい」という課題が出ても、我々は俯瞰的に小説を読んでいるので情報をもとに考察することが可能ですが、いま目の前に対峙している生身の相手がどう思ってこの言葉を話したか？は、情報不足で中々の難問なのです。

こんなこともあります。自分と似た環境や考え方の人について「わかるわかる」と共感することはあると思いますが、「私と一緒だ～」と思った時点でその人を理解するのをやめてしまうことになる場合もあります。「私と考えが一緒だから、きっとこのことにも○○と思うだろうな～」と勝手に思い込んでしまうからです。そんな場合、その人にはその人の考えがあるのに、自分と違ったら「なんで？」とまで思うこともしばしばあります。

また、昔は一般的なステレオタイプの常識というものがあって、例えば「一人で遊ぶ＝寂しい＝かわいそう」というものがあると、声かけするのが良い、一緒に遊ぶのが優しい、といった行動を教えるということがあったかもしれません。しかし、「一人でいる≠かわいそう」という図式が存在する現在、一緒に遊ぶことで本当にみんなが楽しく一件落着なのでしょうか…ということは最近よく語られていますよね。

では、「相手の気持ちを考える」のにはどうしたらいいのでしょう。その人の生きてきた土壌に少しでも思いを巡らせてみること、コミュニケーションをとってその人の気持ちを少しずつ感じてみること、すぐに相手の気持ちが理解できることはそうそうないと考えること。
難しいから相手の気持ちなんか考えなくてもよいと思うのではなく、人にはそれぞれ人生の積み重ねがあるからなかなか気持ちがわからないこともあるよなぁ、それって当然のことだよね…とほわっと余裕を持って思えること自体が大切です。そして、何かのキッカケでなんとなく分かり合えることもあるのです。
加えて、そうであれば自分の人生の土壌もあるのだから、自分の気持ちも相手にわかってもらえないこともあるだろうなぁ…と考え、分かってくれない相手を責めるのではなく、自分をオープンにしていくことも必要だな…と思いをはせることができると、少しでもストレス回避につながっていくかもしれませんね。

治療での不安はもちろん、それに伴って、ご自身のことやご夫婦のこと、ご家族のこと、お仕事のことなど、何となくモヤモヤした気持ちをお持ちでしたら、とりとめもなくお話に来てください。ご自身でお話されることで気持ちが整理され、モヤモヤやイライラが少しずつ減っていきます。あなたのしんどい思いに寄り添っていっしょに考えていくのが「こころのサロン」です。

どうぞお気軽にお越しください😊


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春木レディースクリニック
臨床心理士・公認心理師　　濵口美雪

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