あっという間に梅雨が明けて、この時期にしては今までに体験したことのないような気温の高い日々が続いています。体調にはくれぐれも気をつけてお過ごしください。

少し前に、派手なサンバ風の曲を笑顔で歌ったり踊ったりしながら涙を流そうと試みる…といったテレビ番組の企画があり、参加者は泣く為に辛かったこと・悲しかったこと・悔しかったことなどをしみじみ思い浮かべようとするのですが、明るく激しいリズムや動きに気をとられて中々泣けない…という構図になっていました。
最後に笑顔で涙を流した方は、「亡くなった母親の事を思い出して…結婚して様々な経験をして母親の大きさをさらに感じている」というようなコメントをしていました。
明るいサンバの曲に合わせて悲しいことをじっくりと思い巡らせるのは至難の業かもしれませんが、この方はきっと母親に対する感謝やそれを通じて自分へのエールなどを思い、晴れやかな涙を晴れやかな曲と共に流したのではないだろうか…と何となく思いました。

さて「涙」にはいくつかの役目があります。
目の表面を守る為に分泌される涙、異物が混入した時などに洗い流してくれる涙、そして心が動いた時に流す涙です。
この心が動いた時に流す「情動の涙」は、副交感神経の働きを活発にさせリラックス効果が期待できることがわかっており、その「情動の涙」の中でも、人に共感して流す涙、感動して流す涙がストレス解消につながるといわれています。

最近、例えば…映画やドラマを観たり、曲を聞いたり、本を読んだり、絵画を鑑賞したり、舞台・演劇・ミュージカル・スポーツ、はたまた壮大な大自然などなど…を感じて感動したり共感したりして自然に涙があふれてきたといった体験をされたことはありますか？
多分、この曲を聞くといつも涙が止まらないとか、このラストシーンはすごく感動するなどの思いは少なからず持たれているのではないでしょうか。

リラックス効果を目指して少し感動の幅を広げるためには、例えば、「あんまり絵本なんか見ないなぁ」という方であれば、今までに未体験の新たなジャンル（ここでは絵本）に挑戦されてもいいですし、意識的にご自身の「泣けるツボ」を刺激して「泣くこと」を実践されるのもいいかもしれません。ゆったりとくつろいで、”さあこれから感動するぞ！”と部屋の調光や香りなど周りの環境を整えるのも一つでしょう。

また、悲しく辛い涙であっても、ご自身の中でぐっと抑えて涙する、もしくは我慢するのではなく、誰かに聞いてもらってご自身が何が辛いのかを確認しつつ人前で泣くということでリラックスできてスッキリするということもあります。嫌なことがあったけど、友人に話して思いっきり泣いたらぐっすり眠れた…という実体験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「笑う」という行為にももちろんリラックス効果がありますが、「泣く」という行為にもご自身の感情の解放といった効果があります。ご自身としっかり向き合って本来の気持ちを素直に出せる一つの方法として「泣く」という行為があるのかもしれませんね。

さあ、どのようなきっかけで心を動かして解放するのかは皆さん次第です。最近泣いてないなぁ…という方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。心のデトックスにもつながりますよ。


治療での不安はもちろん、それに伴って、ご自身のことやご夫婦のこと、ご家族のこと、
お仕事のことなど、何となくモヤモヤした気持ちをお持ちでしたら、
とりとめもなくお話に来てください。ご自身でお話されることで気持ちが整理され、
モヤモヤやイライラが少しずつ減っていきます。
あなたのしんどい思いに寄り添っていっしょに考えていくのが「こころのサロン」です。
どうぞお気軽にお越しください😊


春木レディースクリニック
臨床心理士・公認心理師　　濵口美雪

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