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培養室へようこそ

特殊な培養液で妊娠の可能性が上がる!?~学会報告より~

培養室へようこそ 17

皆様こんにちは!
酷暑の日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。
異例の開催となった東京オリンピックもあっという間に終わり、少し寂しく感じますね。
開催までは賛否両論ありましたが、アスリートや関係者の皆様はたくさんの感動を与えてくださいましたね。

さて今回は、先月開催された第39回日本受精着床学会での興味深い演題についてご紹介いたします。
本学会は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現地とオンラインの同時開催となりました。開催地は神戸で近かったため現地参加させていただきましたが、広い会場にも関わらず人が疎らで少し淋しい感じがしました。オンライン開催はいつでもどこでも参加でき便利なため、今後学会の在り方も変わっていくかもしれません。
それにしても何も気にせず人が集まれる日が待ち遠しいですね。

それでは本学会で発表された演題を一題ご紹介いたします。
演題名は『GM-CSF含有培養液を凍結融解胚盤胞の回復培養および胚移植に使用すると臨床成績に影響するか』です。
GM-CSFとは、着床と免疫応答に関与する細胞活性因子の一つです。通常は妊娠すると血中GM-CSF濃度が上昇し、妊娠を維持します。しかし、反復流産患者では上昇が見られずGM-CSFの発現量が低いことが報告されています。
本研究では、凍結融解胚移植において、GM-CSFを融解した胚の回復培養および胚移植に使用し、GM-CSFを使用しない場合と比較していました。
結果は、GM-CSFを使用した群の方が使用しない群よりも妊娠率が有意に高く、妊娠12週時点での流産率に有意差はありませんでした。因みに両群間で平均年齢、移植胚のグレードに有意差はありませんでした。また現時点で出産に至った症例において、両群の出生児に差異は認められていません。
従ってGM-CSFを融解後の回復培養および胚移植に用いることにより、妊娠率の向上が期待でき、妊娠継続に寄与できると示唆された、という報告でした。

当院でも最近、何度胚移植してもなかなか上手くいかない患者様を対象として、GM-CSFを取り入れた治療法を始めました。患者様の背景や治療歴等から複合的に診て使用を検討しております。
治療について少しでも気になることがございましたら、遠慮なさらずにいつでもご相談くださいね。








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