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培養室へようこそ

胚培養液について

皆様こんにちは
先日、第63回日本卵子学会学術集会にて「2種類のシングルステップメディウムによる当院の培養成績の比較」という演題で発表をしてきました。

そこで今回は、メディウム(胚培養液)について説明させていただきます。

 

胚培養液は大きくわけて2タイプあります。

受精から3日目に培養液を交換する「シーケンシャルメディウム」タイプと、受精から培養終了まで同一の培養液で培養する「シングルステップメディウム」タイプです。

 

胚は受精後から8細胞期あたりとそれ以降では必要とする栄養素が異なります。体内では、胚は卵管から子宮へと異なる環境へ移動していくため、8細胞期あたり(受精から3日目頃)を境目に代謝が大きく変化します。シーケンシャルメディウムは、3日目にそれまでとは異なる組成の培養液に胚を移すことによって、胚が必要とする栄養素をその段階に合わせて与えていくという培養液です。

 

一方、近年ではタイムラプス装置が広く普及してきました。

タイムラプス装置は培養庫にカメラがついているので、培養開始から凍結するまで胚を培養庫から外に出すことなく観察することが可能です。

そのため、培養液の交換の必要がないシングルステップメディウムの需要が高まり、各社から様々なシングルステップメディウムが販売されています。

シングルステップメディウムは、胚は自分自身で必要な栄養素を選択できるため培養液の交換は必要ないという考えに基づいています。

 

どちらのメディウムも胚盤胞到達率や着床率に大きな違いはないと言われています。

 

また、培養環境というのは、培養室の面積、気温、湿度、培養庫の種類、培養庫の扉の開閉回数など様々な要因によって決まり各施設それぞれで異なります。

たくさんあるメディウムの中から、自施設の培養環境に合った培養液を選択していく必要があります。

 

当院でも、当院の培養環境でより安定した成績を示す培養液を使用しています。

1種類だけを使用すると、その品質に何か問題が生じた時に使用できる培養液がなくなってしまうため、常に複数のラインの培養液を確保しております。

どうぞご安心して、我々に大切な配偶子・胚をお預けいただけたらと思います。


春木レディースクリニック
培養部 朽原

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