春木レディースクリニック

心斎橋駅直結

電話対応時間

月・火・木・金 9:00~13:00/14:00~18:30
水・土 9:00~16:00 祝日は15時まで

費用についてよくある質問ブログ

初めての方へ

妊活中のお酒はどこまでOK?

栄養カウンセリング室より

2026.10.29

女性・男性への影響を医学論文から解説

「妊活中だけど、たまにはお酒を飲んでも大丈夫?」

「ビール1杯くらいなら問題ない?」

「夫は毎晩お酒を飲んでいるけれど、精液所見に影響はないの?」

妊活中のお酒について、このような疑問を持つ方は少なくありません。

お酒は食事や人付き合いの楽しみの一つです。

妊活を始めたからといって、何もかもガマンするのはつらいですよね。

一方、近年の研究では、アルコールの摂取は女性の妊娠しやすさや、男性の精液所見・一部の生殖関連ホルモン、不妊治療の成績と関係する可能性があることが報告されています。

では、どの程度の飲酒が妊活に影響するのでしょうか?

今回は、女性の妊娠しやすさ、男性の精液所見、体外受精・顕微授精の治療成績について検討した4編の医学論文をもとに解説します。

1.女性の飲酒は妊娠しやすさに影響する?

まずは女性の飲酒について考えてみましょう。

2017年に発表されたシステマティックレビュー・メタアナリシスでは、19研究、女性98,657人のデータを統合し、飲酒と妊娠しやすさの関係が検討されました1)。

この研究で使われている「妊孕性(にんようせい)」は、妊娠する能力全般というより、一定期間、または1周期あたりの妊娠しやすさ(fecundability)を指す指標です。

この研究では、飲酒する女性は飲酒しない女性と比較して、妊娠しやすさが低い傾向にありました。全体の相対指標はRR 0.87(95%信頼区間 0.78〜0.95)で、飲酒群では約13%低い結果でした。

飲酒量別に解析すると、次のような結果でした。

1日あたりの純アルコール量

妊娠しやすさの相対指標

12.5g以下

RR 0.89(95%信頼区間 0.82〜0.97)

12.5g超

RR 0.77(95%信頼区間 0.61〜0.94)

また、純アルコール摂取量が1日12.5g増えるごとに、妊娠しやすさの相対指標が約2%低くなる関連も認められました(RR 0.98、95%信頼区間 0.97〜0.99)。

ただし、飲酒量別の解析では、研究間の結果のばらつきが大きく、異質性も高いと報告されています1)。また、この研究は観察研究を統合したものであり、飲酒が直接の原因で妊娠率を下げると証明したものではありません。

「13%低い」という数字は相対的な指標であり、妊娠率が13ポイント下がるという意味ではありません。飲酒していない女性の妊娠率が30%なら、相対リスクが13%低い場合、飲酒している女性では約26%というイメージです。また、「少し飲んだだけで妊娠できなくなる」という意味ではありません。

2.ワインなら大丈夫?お酒の種類による違いは?

「ビールはよくないけれど、ワインなら健康によさそう」 そんなイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

先ほどのメタアナリシスでは、ワイン、ビール、蒸留酒についても検討されています1)。

その結果、お酒の種類別の解析では、妊娠しやすさとの統計学的に明確な関連は認められませんでした。

しかし、これは「ワインやビールなら妊活中でも安全」という意味ではありません。種類別の解析に含まれる研究数は限られており、特定のお酒の安全性が証明されたわけではないからです。

妊活中は、お酒の種類よりも、純アルコールをどれくらい摂取しているかに目を向けることが大切です。

3.男性の飲酒は精液所見に影響する?

妊活というと、女性が生活習慣に気をつけるイメージが強いかもしれません。しかし、妊娠には卵子だけでなく、精子も関わります。

2023年に発表された40研究、男性23,258人を対象としたメタアナリシスでは、飲酒している男性は飲酒していない男性と比較して、射精時の精液量が少ないことが報告されました2)。

また、テストステロン、FSH、LHなど、一部の生殖関連ホルモンにも違いが認められました。一方、精子濃度や運動率、形態については、全体解析で明確な差が認められませんでした。

さらに、2026年に発表されたアンブレラレビューでは、飲酒しない男性または飲酒量の少ない男性は、飲酒量の多い男性と比較して、精液量が平均0.25mL多く、正常形態精子率も平均1.87ポイント高いことが報告されています3)。

ただし、これらの研究は主に観察研究をまとめたものであり、飲酒が直接の原因で精液所見が変化したとは断定できません。また、複数のレビューで元となる研究が重複している可能性があるため、結果を独立した証拠として単純に積み重ねることはできません。

少量のお酒でも精液所見に影響するの?

2023年のメタアナリシスでは、比較的少ない飲酒量では、精子濃度や運動率、形態などに明確な差が認められない項目がある一方、精液量や一部の生殖関連ホルモンとの関連が報告されました2)。

つまり、飲酒量や評価する項目によって、研究結果は異なります。少量飲酒の安全性が証明されたわけではありません。また、禁酒によって精液所見や妊娠率が必ず改善するとも断定できません。

男性の妊活では、少なくとも多量飲酒を避け、普段の飲酒量を見直すことが大切です。

4.体外受精・顕微授精の成功率にも関係する?

ここで、特に注目したい研究をご紹介します。

2022年に発表されたシステマティックレビュー・用量反応メタアナリシスでは、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)を受けた女性とそのパートナーを対象に、アルコール摂取と治療成績との関係が検討されました4)。

用量反応モデルによる推定では、週84gの純アルコール摂取は、飲酒しない場合と比較して、次のような関連が報告されました。

評価対象

評価した項目

結果

女性

妊娠成立

オッズが約7%低い(OR 0.93)

男性

パートナーの生児獲得

オッズが約9%低い(OR 0.91)

この研究で注目したいのは、男性の飲酒も、パートナーの生児獲得との関連が報告された点です。

ただし、女性では妊娠成立、男性では生児獲得という異なる指標について関連が認められています。また、週84gは用量反応モデル上の推定値であり、安全と危険を分ける境界線ではありません。

これらは相対的なオッズの差であり、実際の妊娠率や出産率が7〜9パーセントポイント下がるという意味ではありません。観察研究を中心とした解析であるため、飲酒が治療成績低下の直接的な原因であるとは断定できません。

それでも、不妊治療に取り組むご夫婦にとって、飲酒習慣を二人で見直すきっかけになる研究といえるでしょう。

5.週84gのお酒って、どれくらい?

週84gの純アルコールといわれても、なかなかイメージしにくいですよね。

実際のお酒に換算してみましょう。

お酒の種類

純アルコール約20gの目安

ビール(5%)

約500mL

ワイン(12%)

約210mL

日本酒(15%)

約170mL

チューハイ(7%)

約360mL

例えば、ビール500mLを週4本飲むと、純アルコール約80gになります。

毎日大量に飲んでいなくても、週単位で計算すると意外に多くなっているかもしれません。

なお、週84gという数字は研究で評価された飲酒量であり、安全と危険を分ける境界線ではありません。

週84g未満なら妊活に影響しない、という意味ではないことに注意しましょう。

6.妊活中は、結局お酒をやめた方がいい?

ここが最も気になるところだと思います。

女性の場合

妊娠していても、まだ妊娠に気づいていない時期があります。妊娠中の飲酒は胎児への影響が懸念されており、妊娠中の飲酒を避けることが勧められています5)。

そのため、妊娠を希望する女性には、妊活を始めた段階から飲酒を控えることをオススメします。

これは、妊活中の禁酒で妊娠率が上がると医学論文で証明された、という意味ではありません。妊娠に気づく前の時期の飲酒を避けるための、予防的な提案です。妊孕性に関する研究結果と、妊娠初期の胎児への影響を避けるための考え方は、分けて理解することが大切です。

男性の場合

男性については、妊活中にどの程度まで飲酒してよいか、科学的に確立された安全基準はありません。

これまでの研究では、飲酒と精液量や一部の生殖関連ホルモンとの関連が報告されています。一方、精子濃度・運動率・形態には明確な差が認められない研究もあります。

妊活中の男性には、少なくとも多量飲酒を避け、できるだけ飲酒量を減らすことをおすすめします。

禁酒を選ぶことも合理的ですが、完全禁酒によって妊娠率がどの程度改善するかについては、まだ十分な根拠がありません。

精子が作られて成熟するまでには約2〜3か月かかるとされています。

そのため、妊活に向けた生活習慣の見直しは早めに始めるとよいでしょう。

ただし、「3か月禁酒すれば精液所見が必ず改善する」という意味ではありません。

7.お酒以外に見直したい生活習慣

2026年のアンブレラレビューでは、飲酒以外にも、肥満、喫煙、睡眠障害などと精液所見との関連が報告されています。一方、定期的な運動、健康的な食事パターン、ナッツ類の摂取などは、一部の精液所見と良好な関連を示しています3)。

ただし、このレビューが評価した249の効果推定のうち、136件(54.6%)は根拠の確実性が「非常に低い」、59件(23.7%)は「低い」と評価されています。これらの生活習慣を改善すれば精液所見が確実によくなる、あるいは妊娠できるという意味ではありません。レビューの著者らも、因果関係を確認するには、さらに質の高い研究が必要としています3)。

飲酒を減らすことに加えて、禁煙、適正体重の維持、十分な睡眠など、取り組みやすいことから考えてみましょう。

8.妊活中のお酒について、よくある質問

Q.排卵日の前後だけ禁酒すれば大丈夫ですか?

排卵日の前後だけ飲酒を控えれば、妊娠への影響を避けられることを示す十分な根拠はありません。妊娠に気づいていない時期も考慮し、女性は妊活中を通して飲酒を控えるという予防的な選択肢もあります。

Q.男性は少量なら飲んでも大丈夫ですか?

少量飲酒の影響については、研究結果が必ずしも一致していません。少量なら安全という基準は確立されていないため、妊活中は飲酒量を減らし、多量飲酒を避けることが望ましいと考えられます。

Q.妊娠に気づかず、お酒を飲んでしまいました。大丈夫でしょうか?

妊娠に気づく前に飲酒したからといって、必ず胎児に影響が出るわけではありません。

妊娠がわかった時点で飲酒をやめ、飲酒量や時期について心配な場合は担当医に相談してください。

Q.男性が禁酒すれば、精液所見はよくなりますか?

飲酒量が多い男性では、飲酒を減らすことに意義があると考えられます。

ただし、今回紹介した研究からは、禁酒によって精液所見や妊娠率が必ず改善するとは断定できません。

9.まとめ:妊活中のお酒は夫婦で考えよう

今回ご紹介した4編の論文から、飲酒と妊活について次のことが示唆されます。

  • 女性の飲酒は、一定期間または1周期あたりの妊娠しやすさの低下と関連する可能性があります。

  • 男性の飲酒は、精液量や一部の生殖関連ホルモンとの関連が報告されています。

  • 体外受精・顕微授精では、女性の飲酒と妊娠成立、男性の飲酒と生児獲得との関連が報告されています。

  • ただし、飲酒が直接の原因であることや、禁酒による妊娠率の改善効果は十分に証明されていません。

妊活中は、女性だけが生活習慣に気をつければよいわけではありません。そして、お酒を控えることだけで妊娠が保証されるわけでもありません。

大切なのは、医学的な情報を正しく理解し、できることから無理なく取り組むことです。

妊活は、二人で取り組むもの。

赤ちゃんを迎える準備の一つとして、今日からご夫婦でお酒との付き合い方を見直してみてはいかがでしょうか。


参考文献

1) Fan D, et al. Female alcohol consumption and fecundability: a systematic review and dose-response meta-analysis. Scientific Reports. 2017;7:13815.
https://doi.org/10.1038/s41598-017-14261-8

2) Nguyen-Thanh T, et al. Investigating the association between alcohol intake and male reproductive function: A current meta-analysis. Heliyon. 2023;9:e15723.
https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2023.e15723

3) Wang QH, et al. Current risk factors for male infertility and semen parameters: an umbrella review of systematic reviews and meta-analyses. Asian Journal of Andrology. 2026;28:284–296.
https://doi.org/10.4103/aja202552

4) Rao W, et al. The association between caffeine and alcohol consumption and IVF/ICSI outcomes: A systematic review and dose-response meta-analysis. Acta Obstetricia et Gynecologica Scandinavica. 2022;101:1351–1363.
https://doi.org/10.1111/aogs.14464

5) 厚生労働省. 健康日本21(アルコール).
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html

≪栄養カウンセリング≫
日時: 水曜日 14:30~、15:30~

   金曜日   14:30~、15:30~、16:30~

   土曜日 13:30~、14:30~ (第2・第4土曜日のみ実施)

料金:初回はどなたでも無料です。

    2回目以降は自費診療中の方を対象に1回3,300円(税込)で実施しています。

    保険診療中の方は、2回目以降の従来の栄養カウンセリングは対象外となります。

    継続して相談されたい方は「妊活栄養プログラム」にお申込みいただけます。

妊活栄養プログラム:保険診療中の方もお申込みいただけます。3か月間、月1回・全3回の面談で費用は1回3,300円(税込)です。

春木レディースクリニック公式インスタ

春木レディースクリニック
管理栄養士 山本

電話でのお問い合わせ

月・火・木・金曜日

9:00~13:00 / 14:00~18:30

水・土曜日

9:00~16:00 祝日は15時まで

アクセス

〒542-0081
大阪府大阪市中央区南船場3-12-14
クオーツ心斎橋 6階
アクセス:大阪メトロ 心斎橋駅1番出口(北改札)直結